「脳機能と免疫系の関係」
中枢神経系が免疫システムに存在する細胞/分子を利用しており、免疫応答システムは免疫細胞によって産生される神経内分泌物質(neuroendocrine mediators)によって調節されています。[2]
●人間の様々な能力の源=脳
人間の、様々な能力(学ぶ・覚える・作品を作る・計画するなど)は、脳の可塑性(環境に適応して変化する力)に依存しているといわれています。そして脳の可塑性は、脳の能力※に依存していることが明らかになってきています[1]。
※脳の能力
・神経細胞間の結びつきをつくる力
・既にある神経細胞どうしの結びつきを強くする力
・新しい神経細胞をつくり続ける力(=神経新生)
1950年代頃までは大人の脳が新しい神経細胞をつくる能力があるという概念はありませんでしたが、1960年代頃から、アメリカの神経科学者でソーク研究所教授のFred Harrison Gage氏、同神経科学者・心理学者でありプリンストン大学教授のElizabeth Gould氏らによりそれが覆されました。
現在、脳の海馬(=学習や記憶を司っている)で、新しい神経細胞が生涯に渡りつくられていることが実証されています。
●明晰な頭脳と免疫機能を保つためにできること
1:運動
運動をすると、思考や感情に関連する神経伝達物質(セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミン)の分泌が促されます。また運動により、新しい神経細胞が生み出され、神経化学物質※や成長因子も放出されます。
※神経化学物質
=神経細胞の機能調節など様々な役割を担っている化学物質の総称
2:瞑想
瞑想は、脳の集中力/注意力、記憶・学習、意識知覚と関連のある領域に作用し、免疫系の機能を向上させ、ストレスを鎮める効果(=α波)があることが、いくつかの研究で明らかになっています。
3:食事[3]
野菜・果物・ナッツ類・魚・乳製品などをバランスよく摂取することは、明晰な頭脳と免疫機能を保つことにつながります。
〇オメガ3脂肪酸
:植物由来のαリノレン酸、魚類由来のDHA,EPAがある
αリノレン酸は亜麻仁油やエゴマ油に多く含まれ、DHA,EPAは青魚に多く含まれる
-αリノレン酸=血中中性脂肪を下げる作用
-DHA=記憶力や判断力の向上に有効
-EPA=脳内に血栓ができることを防ぐ
〇抗酸化作用のある食品
:活性酸素※の発生やその働きを抑制したり取り除く作用がある
- ポリフェノール=ブルーベリー、大豆、ゴマ、緑茶
- カロテノイド=緑黄色野菜、果物、甲殻類、魚類
- 抗酸化作用を持つビタミン(ビタミンA,C,E)=ナッツ類など
※活性酸素
人体で活性酸素が過剰になると、がん・動脈硬化・老化・免疫機能の低下などを引き起こす原因となる過酸化脂質が作り出されます。
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免疫力を高めることは、脳機能を高めることや心の健康を支えることにも繋がります。心と体と思考の健康は相互に影響しあっています。
[1] 神経免疫学革命 脳医療の知られざる最前線 (早川書房)
[2] Neuroimmune Interactions: From the Brain to the Immune System and Vice Versa
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5866360/
[3] 厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-009.html
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2022年01月12日 20:00