『リメディアルマッサージ』とは
TRTA 東京リメディアルセラピーアカデミーは麻布十番で開校し、今年で10年目を迎えています。長くスクール運営をする中でご受講を検討いただく方から「リメディアルマッサージとは何ですか?」というご質問を多くいただいておりました。
そこで今回のブログでは、自然療法大国オーストラリアで国民的マッサージのように普及している「リメディアルマッサージ」について詳しくお伝えしたいと思います。
リメディアルマッサージとは
リメディアルマッサージは、オーストラリアで民間医療保険の適用が認められたトリートメントです。本国では、広範な評価技術と解剖学的知識によりクライアントの状態やニーズに合わせて多種の施術テクニックを都度オーダーメイドしていく“セラピューティック・ディープティシューマッサージ”(=療法的な深部組織マッサージ)として普及し、筋骨格系の不具合解消やケガの治療に活用されています。
オイルマッサージならではの心地よさの中に、身体の不具合解消に効果的なテクニックが取り入れられた、整体のようなオイルマッサージともいえます。
リメディアルマッサージと同じ性質を持った療法
リメディアルマッサージは、クライアントの身体を評価して行うトリートメントです。この「身体を評価して施術を行う」という流れは、フィジオセラピー(理学療法)・オステオパシー・カイロプラクティックなどにも共通します[1]。
これらは、一つの決まったカタチのトリートメントではなく、クライアントの身体の状態に応じて実施する技術を変化させるため、クライアントによって選択するテクニックが変わってきますし、施術を行うセラピストによっても特色が出ます。
病気の治療に例えると、ある不具合がある患者さんが、ドクターXとドクターYの2人のドクターを受診しました。ドクターXは○○という治療方針を出しましたが、ドクターYは▲▲という治療方針を出しました。同じ患者でもドクターによって治療方針が違うことは日常ですが、リメディアルマッサージも同じような原理だと考えていただければ分かりやすいかもしれません。
リメディアルマッサージのもう一つの側面として、「多様な技術や理論を包摂していること」があげられます(カリキュラムにSHIATSU=指圧が含まれている学校がある等)。セラピストが様々な施術方法や理論を学んでいる背景により、施術方針にも多様性が出ます。
リメディアルマッサージ施術には、決まった型は存在しない
前述のようにリメディアルマッサージは、例えば「指圧」のように解りやすく決まったスタイルがありません。
「100人のセラピストがいたら、100通りの施術スタイルがある」、といっても過言ではありません。
故に、一度どこかでリメディアルマッサージを体験したとしたら、それは無数に存在するリメディアルマッサージの施術スタイルのほんの一部であって、もっと違うスタイルの施術もある、全容は広く深い、と認識いただくと誤解がないかと思います。
リメディアルセラピストの施術スタイルが確立される背景
➡ どこの学校で、何をどれだけ学んだか
オーストラリアのマッサージセラピー国家資格教育課程には政府の示す基本的なガイドラインこそありますが、すべての学校のカリキュラムが同じではありません。また、数年でガイドライン/カリキュラムがアップデートされることがあるため、卒業年度によっても受講内容が多少異なります。
学校のカリキュラムは「必修科目(政府の教育省が必修科目として定める科目)」と「選択科目(各学校の特色が反映されるカリキュラム)」で構成されるため、同じ資格を保有しているセラピストでも、卒業する学校や年度により、学んでいる内容に違いが出ます。
日本の大学に例えるなら、「経済学の学士資格」は様々な大学で出していますが、大学によって多少のレベルの違いや受講カリキュラムに違いがありますが、オーストラリアのマッサージセラピー資格も同じように捉えていただくとイメージが沸くのではないかと思います。
同じ資格を持っていたとしても、どこの学校で、何をどれだけ学んだか、どのような経験を積んでいるか、等でセラピストの価値観や知識レベル・技術レベルに違いが出ます。
オーストラリアの社会的風土:ダイバーシティ&インクルージョンが反映されたセラピー
移民国家であるオーストラリアの社会風土に「ダイバーシティ(=多様性)&インクルージョン(=包摂)」があり、それはリメディアルマッサージにも反映されています。
リメディアルマッサージは、スウェディッシュマッサージ・ディープティシューテクニック・リフレクソロジー・筋膜リリース、モビリゼーション..等、多様な施術テクニック・考え方・視点を包摂しており、「個性を尊重する(セラピストに対しても/クライアントに対しても)」「答えは一つではない」「施術のやり方は多様である」という価値観がベースにあります。
また、リメディアルセラピストの中には、筋骨格へのアプローチだけでなく、心の解放、エナジーワーク、エクササイズ、サウンドセラピー、食生活のアドバイスなど、それぞれが持っている専門知識と組み合わせてトータルケアを行っている方もいます。 セラピストのスタイルは様々ですが、施術のゴールは同じ(=クライアントが心身ともに健康に元気に幸せになること)です。
ゴールへの手段は決まったやり方ではなく、セラピスト自身の得意分野を組み入れながらクリエイティブに施術サービスを提供していくことができます。 こういった多様性と包摂性が、様々な文化・宗教・価値観をもつものが共存するオーストラリアの国を表したようなトリートメントといえる所以です。
オーストラリアのマッサージセラピー国家資格
オーストラリアのマッサージセラピー国家資格の基本資格が「オーストラリア政府認定マッサージセラピスト=Certificate Ⅳ in Massage Therapy」であり、本資格は当スクールで取得できます(全312時間)。この資格取得コースでは、日本国内法におけるセラピストの職務範囲(リラクゼーション以上、治療未満)の中でクライアントに合わせたオーダーメイド施術を実践できるようにすることを目指しています。オーストラリア政府認定リメディアルセラピスト資格の基礎部分にあたるため、いわばベーシックリメディアルを学ぶコースともいえます。
※オーストラリア国内法においては、リメディアルセラピストは治療的マッサージをすることができます。オーストラリア国内で民間医療保険適用にて治療的マッサージを提供するための資格がリメディアルセラピー国家資格(Diploma of Remedial Massage)=約1~2年間の就学期間(約800時間程度)となります。
【脚注】
[1]フィジオセラピー・オステオパシー・カイロプラクティックの教育課程が4~6年(国や学校により多少異なる)となり、これらの資格はドクター資格またはマスター資格になります。
※アメリカ:オステオパシー=Doctors of Osteopathic Medicine, 理学療法=Doctor of Physical Therapy,カイロプラクティック= Doctors of Chiropractic
▼参考サイト
American Osteopathic Association= https://osteopathic.org/
American Chiropractic Association= https://www.acatoday.org/
American Physical Therapy Association= https://www.apta.org/