特集ブログ:全身とつながる “顔の筋肉”の重要性と その性質

このブログでは、私たちのスクールでの臨床から得た知見や解剖学的知識、世界の動向など、セラピストに役立つ情報をお届けしていきます。
今回は、近年世界的に注目が高まっている「顔筋(がんきん)」に焦点を当ててご紹介いたします。
Written by Mariko Watanabe / TRTA
なぜセラピストが顔筋を深く理解すべきなのか
「フェイシャルトリートメントは顔だけ」「ボディートリートメントは首から下だけ」、そのような思考で施術を分けてしまっていませんか?
実は、顔にある筋/筋膜は、頸部・肩部・腕部、さらには全身と密接につながっており、セラピストが『全身をみる』視点を持ち、総合的な施術サービスを提供するためには、この顔筋の理解と技術は欠かせません。
顔筋は『感情とつながる』筋肉
顔には多くの筋肉があり、その殆どが「皮筋/表情筋」と呼ばれる、皮膚に直接付着する特殊な構造を持ちます。これは、表情をつくるために進化したヒト特有の筋肉群であり、四肢(下肢、上肢)のように大きな動作ではなく、脳と感覚のやり取りをして微細な感情表現をするはたらきをしています。
つまり、顔筋の多くは「動かす筋肉」というより、「感情とつながる筋肉」とも言えます。
そして、顔筋の緊張やアンバランスは、ただのこりやたるみではなく、精神的・神経的なストレス反応の現れでもあります。
顔筋と全身の筋膜ネットワーク
顔の筋肉は頭蓋骨や顎、そして頸部の筋肉と連動しており、その周囲には筋膜のネットワークが張り巡らされています。
この筋膜は全身を一枚のボディスーツのように包んでいるため、顔の緊張が首や肩など全身にまで影響することがあります。
たとえば、噛みしめ癖や口呼吸のあるクライアントは、咬筋や側頭筋が硬くなることで、胸鎖乳突筋や僧帽筋、さらには肩甲骨周辺にまでも影響がでるケースなどがあります。
「顔」をリリースすることで「呼吸」が変わる?
近年では、顔筋へのアプローチが自律神経系に与える影響にも注目が集まっています。顔の筋肉と深く関わる副交感神経の経路に刺激を与えることで、神経的な疲れの解消、呼吸の深さや安定、心身の開放、睡眠の質の改善に寄与するという臨床の報告※も少なくありません。
顔へのアプローチは、単なる美容効果だけではなく、『心身を整える効果』も期待できると言えます。
※TRTAの臨床実績のデータに基づく
セラピストだからこそ「顔筋」を「全身」を結びつけて考える
TRTAでは、単なるフェイシャル技術にとどまらず、「顔筋の基礎解剖学」「ストレスと身体」「筋膜の連動」など、解剖学的・機能的な視点から顔にアプローチするスキルを大切にしています。
「顔筋リフトテクニック講座」では、全身のトリートメントやリリースとの連動を意識しながら、深層の顔筋に働きかけることで、単なるリフトアップを超えた「心身の機能的な変化」を目指します。
▼ 詳しくはこちら
https://watanabe-academy.org/faceliftup.html
ボディーセラピストの方にこそ知ってほしい、顔の奥深さ
ボディートリートメントに携わる方ほど、「顔筋を学ぶことで、身体の施術に深みが出た」と感じられるケースが多くあります。TRTAでは、国家資格取得を目指す総合コースに加えて、顔筋やデトックスをテーマにした『ビューティーセラピー技術講座』もご用意しています。
顔と身体のつながりを理解することは、クライアントの悩みの“本質”に迫る重要な鍵となります。
フェイシャルは、もはや「顔だけの施術」ではなく、「心身に影響を与える技術」へと、その捉え方が大きく変化してきています。
▽単科選択コース一覧はこちら
https://trta-jp.org/infomation_single_course.html
次回もセラピストに役立つ情報を基にした特集をお届けしますので、どうぞお楽しみに。