【AI / 美容 / セラピー】世界の視点から考える AIとセラピストの未来
AI(人工知能)という言葉を聞かない日はなくなりました。
ビジネスから教育、医療まで、
あらゆる分野で活用が進んでいます。
そして、
AIは私たちセラピストが携わる分野である美容や癒しの世界にも
大きな影響を与えています。
肌診断AI、マーケティングの自動化、
オンラインカウンセリングなど、こうした仕組みは、
もはや特別なものではなく私たちの日常や仕事の傍らに存在してい
ます。
今回のブログでは「AIとセラピストの未来」をテーマに、
AI導入状況の現状把握や、
AI時代にセラピストとして意識しておきたいことなどを、
グローバルな視点から考えていきたいと思います。
Written by Mariko Watanabe / TRTA
世界のAI導入状況から見える日本の立ち位置
まず少し視野を広げて、世界のAI事情を見てみましょう。
世界を見渡すと、
AI導入のスピードは国ごとに大きな差があります。今現在、AIの研究開発力や活用に関しては、
アメリカと中国が抜きんでています。
1. アメリカ
世界屈指の先端AIモデル開発、豊富な資金力、研究機関+
スタートアップの強固な連携があり、
OpenAIやGoogleなど世界的企業が最先端をリード。
2. 中国
国家戦略としてAI産業を推進。
顔認証や製造業への導入は世界トップクラス。「
DeepSeek」などのAIモデルによる国産化と広範な応用、
さらに多くのフロンティア技術分野で米国を上回る進展も報告され
ている。
3. イギリス
医療や公共サービスへの応用が進み、AIスタートアップも多数。
4. ドイツ
製造業とAIを組み合わせた「インダストリー4.0」
で存在感を発揮。
5. カナダ・シンガポール・北欧
研究と教育を重視し、社会全体でAIを取り入れる体制を整備。
6. 日本
導入は比較的慎重。ただし教育や観光など特定分野では拡大傾向。
日本における個人の生成AI利用経験や、
企業の生成AI活用方針策定状況は、
いずれも2023年度調査より上昇していますが、
調査した他国より引き続き低い傾向があります(
2025年7月 総務省_令和7年版情報通信白書_概要より)。
AIとセラピスト、すでに始まっている共存のカタチ
AIはすでにサロン現場でも活用できる形で身近にあります。
- 翻訳AI
: 海外顧客との会話や英語マニュアルの理解をサポート
- GeminiやChatGPTのような生成AI
: SNS投稿の下書き、施術説明文、学びの要点整理に役立つ
- AI美容アプリ
: 肌の状態を数値化し、美容提案の参考にできる
AI姿勢解析
: AIがカメラやモーションキャプチャを元に姿勢を解析
- 音声文字起こしAI
: 会議や勉強会の録音をテキスト化して復習を効率化
- 業務効率化
: 予約や顧客管理を自動で行うシステム
これらはすべて、
すでに個人が持つスマートフォンやパソコンで活用できる技術です
。
AIを「特別なもの」と捉えるより「
日常の小さな作業を支える身近な存在」
として活用する視点が大切です。AIが事務や分析を担うことで、
セラピストは“人にしかできないこと”
に集中できる未来が見えてきています。
グローバルな視点「オーストラリアから学ぶAIとセラピー」
オーストラリアでは、オイルマッサージが国家資格として確立し、
医療・スポーツ・美容の幅広い領域で社会に根付いています。
同時に、オーストラリアのマッサージ業界団体 AMT(
Association of Massage Therapists) は、AI導入に関して「倫理的ガイドラインが必要」
と公式に発表しています。記録や分析はAIで効率化できても、
「施術の判断や信頼の構築は人間にしかできない」からです。
AMT公式ブログ(AI活用に関する記事)
So you think you can AI? AMT’s new position statement on use of artificial intelligence
AMT公式サイト内「AI活用に関するポジションペーパー(
PDF)」
AMT Position Statement: Use of Artificial Intelligence in Massage Therapy Practice (PDF)
自然や資源が豊かなオーストラリアだからこそ、
人の手によるケアの重要性が社会に強く根付いているのです。
AIに影響を受けにくい職業のひとつ「マッサージセラピスト」
Microsoftが最新レポートで「
AIに影響を受けやすい職種」と「受けにくい職種」 各トップ40のランキングを公開しました(
Working with AI: Measuring the Occupational Implications of Generative AI )。
AIはデータ処理や文章生成、
分析などの分野では非常に強力ですが、一方で 「人間の手でしかできない仕事」や「共感が求められる仕事」 はAIでは代替が難しいことがわかっています。
その中で「マッサージセラピスト」は“
AIの影響を受けにくい職種トップ40”に入っています。
理由はシンプルで、とても希望のあるものです:
✓施術中に呼吸や表情を読み取ったり、筋肉や肌の状態を感じとり「
もう少し優しいタッチで」「ここは強めに」
などと細やかに瞬時に調整できる感覚は人間ならでは。
✓「癒されている」という安心感や、「共感してもらった」
という心の繋がりは、
人と人とのコミュニケーションからしか生まれない。
AIがどれほど進化しても、
セラピストの価値はむしろ高まることが再確認できるレポートです
。
AI × 手技療法の融合
AIは美容や癒しの世界にも広がりつつありますが、人の温もり・触れられる安心感・細やかな調整能力などは、まだAIでは代替困難な部分で、人間ならではの価値が根強く存在しています。
「 AIによる分析/数値化 × 手技療法 」
AIは、カメラやセンサーを通じて、 肌水分量・シワの深さ・姿勢・血流・心拍・
睡眠などを分析し数値化します。
これにより、従来は「感覚」でしか捉えにくかった情報が、
誰にでも理解できる“美容指標”として可視化されます。
しかし、数値だけでは「どこに、どんなタッチが必要か」
は導けません。セラピストは、
AIが提示したデータを参考にしながら、
手で触れたときの温度差・質感・微妙な反応を感じ取り、
施術をカスタマイズすることで、
より効果的な施術を行えるようになります。
つまり、AIは“見える化”を担い、人の手は“解釈と実践”
を担う。
この二重構造によって、顧客は「科学的な裏付けによる安心」と「
人の手だからこそできること(=手の温もり、
感覚による細やかな調整)」の両方を同時に得られます。
AIが示す科学的データと、
人の手が生み出す感覚的な安心感を組み合わせることで、
AI時代にふさわしい世界的トレンドに即した施術サービスへと発
展していくのです。
AI時代に活躍できるセラピストになるために
令和のAI時代を迎えた今、
セラピストに求められるのは次の3つであると考えます。
✓ グローバルな視点を持つこと
AIは国境を越えて進化しています。アメリカや中国をはじめ、
ヨーロッパやアジアの国々では様々な分野でAIが導入され、
日常生活に浸透しつつあります。一方で、
日本はAIの導入スピードではやや慎重な姿勢が目立ちます。
また、
マッサージセラピーや他の分野においても同様のことが言えます。
オイルマッサージの普及においても国家資格制度が確立されている
国と比べて遅れをとっている部分があります。だからこそ、
日本のセラピストにとって大切なのは 「国内だけでなく、世界にも目を向ける姿勢」 です。
✓ AIと人間、それぞれの得意分野を理解し、業務を効率的にしていく意識
AIが得意なことは、大量のデータ分析や処理、
画像や音声の認識、自然言語処理、パターン認識と予測、定型的・
反復的な作業の自動化、ルールの範囲内での迅速な処理です。
一方、人間ならではの価値は、感性により「創造できること」「
対話ができること」「共感ができること」です。この両者の得意分野を上手く掛け合わせていく意識が大切になると思います。
✓ 真贋を見極めることができる判断力
AIに頼りすぎると、
自分の判断力やスキルが弱まる可能性があります。
AIは万能ではないですし間違うこともあります。故に、
AIが発達したとしても、自ら専門知識を学び「考える力」や「
判断力」を養う必要があります。それには、
確かな教育カリキュラムをベースとした学びにより基礎を身に着け
ることが第一歩になります(基礎なくして、
応用力や判断力は得られない)。
さいごに
AI × セラピー × 美容 ― その融合は、セラピストの未来を広げる大きな可能性となります。
AIやデジタル技術が進化しても、セラピストの「手」と「心」
の価値は変わりません。むしろ、
AIはセラピストの価値を引き立てる存在になるでしょう。そして、「AIにはできないこと」を担えるセラピストの役割は、
これからますます大切にされるでしょう。
AIの時代にこそ、セラピストの“人間らしさ”が光ります。
そのことを誇りに、未来へ進んでいきましょう。
2025年08月28日 13:30