豪州オイルマッサージ国家資格 専用サイト 【TRTA】 東京リメディアルセラピーアカデミー

東京で、世界レベルのオイルマッサージセラピストになる。

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オーストラリアのマッサージ文化と健康意識

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TRTA 東京リメディアルセラピーアカデミーは、オーストラリア政府認定教育機関 MSQ(Massage Schools of Queensland)と2015年より提携し、日本国内でオーストラリアのオイルマッサージ国家資格が取得できるコースを開催しております。

コースでは、専門理論や技術だけでなく、オーストラリアの文化や国民の健康意識・価値観にふれる機会もありますが、参加される受講生の多くは、異文化や異なる価値観から新たな視点を得て、自身の健康増進や仕事/ライフスタイルの発展に役立てているようです。

そこで今回のブログでは、「オーストラリアと日本のマッサージ文化の違い」についてお伝えしたいと思います。
 

●マッサージ文化が根付いているオーストラリア

世界有数の自然療法大国として知られるオーストラリアでは、老若男女問わずマッサージセラピーを習慣的に受ける文化があります。それは社会制度と国民の健康意識が関係しています。

まず社会制度について、オーストラリアでは国民健康保険と民間医療保険(任意加入)が存在し、各保険は政府の指針によって適用される範囲が定められています。その中でマッサージセラピーの保険適用は民間保険となり、心身の不調和/不具合の解消や怪我の治療などで利用されます。

民間医療保険は年間の利用限度額が限られており(例えば、各種療法の保険適用限度額600ドル/年、等)、また保険に加入していない場合は保険適用による施術を受けることはできません。しかし、そういった自然療法が利用できる民間医療保険制度が社会の制度としてあることが、国民の健康意識や予防的にマッサージを受ける意識向上の後押しになっているのは確かです。

そして健康意識については、スポーツ大国であることを背景に、怪我や不具合が起きる前にカラダのメンテナンスやコンディションを整えるといった健康意識を持つ方が多く、自分自身のカラダを守るために習慣的にマッサージセラピーを受けるという発想がベースにあります。その発想は保険を利用しない場合でも同様です。

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●日本国内におけるマッサージセラピー利用者の傾向


それでは日本における同じ分野はどうでしょうか。 国内では医療類似行為として厚生労働省が所轄している整骨院や鍼灸院で有国家資格者が施術を行います。利用する場面は、怪我や故障が発生してから通院するといった流れで、保険の適用には予防という概念は殆どありません。又、民間のサロンや整体院は、リラクゼーションを目的として疲弊したカラダをリラックスしたい、カラダの〇〇(部位)がつらいなど、多くの方は発生事後に行動します。利用者はどちらかというと「辛くなってからマッサージを受ける」という方がまだ多いようです。

昨今、日本国内のヘルスケア領域においても「予防」や「未病」といった言葉が認識されつつあり、以前に比べると予防的にマッサージを受ける人も増えてきていますが、諸外国に比べると相対的に健康に対する予防意識がまだまだ低いのが現状です。
 

●健康意識が高い人ほど能動的にマッサージセラピーを受ける


各国大使館があり多くの外国人が居住する港区麻布十番のリラクゼーションサロンでお客様の利用傾向を聞く機会がありました。今では、そのお店の全体の利用者の約4~5割は外国人だそうで、その多くの方がカラダのコンディションを整えることや予防としてのメンテンナンスを目的としているそうです。また、マッサージを受ける姿勢も能動的で、当日の身体の状況に則した施術内容を担当セラピストに具体的にリクエストする人も多いとのことです。また施術中にもセラピストに対して技術のフィードバックをするそうです。セラピスト任せで施術を受けるのではなく、クライアント自身も施術に参加する姿勢は、普段から自分の身体や健康と向き合う意識が高いことの現れだと思います。

一方で、日本人の控えめな国民性から、お店側に気を使って施術に対する要望があっても口にしないというケースもあるかと思います。そういった観点から考えると、日本人のお客様に施術サービスを提供するセラピストは、お客様がフィードバックをしやすい雰囲気づくりやコミュニケーションを図ることも意識していきたい点だと思います。
 

●日本国内でマッサージセラピー領域に従事する際に意識していきたいこと


前述のように、日本国内における健康予防意識は高まってはいるものの、諸外国に比べると全体的に受け身/後手です。マッサージセラピー領域に従事するセラピストも、こういった国内外の状況を踏まえて、お客様にわかりやすく身体や健康に関する情報をお伝えしていくなど、健康/予防に関する教育をしていく意識を持つことも大切であると考えます。自分の健康に対して、主体的に取り組む人が増えると健康で元気な人がもっと増えて、社会がより明るくなると思います。

私たちはオーストラリアのマッサージセラピー教育を提供するなかで、技術や専門理論の指導だけに留まらず、社会における私たちの役割も常に考えています。これからも、教育を通じて社会への貢献に精進して参ります。引き続きどうぞよろしくおねがいいたします。


 

2022年08月31日 18:00

『リメディアルマッサージ』とは

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TRTA 東京リメディアルセラピーアカデミーは麻布十番で開校し、今年で10年目を迎えています。長くスクール運営をする中でご受講を検討いただく方から「リメディアルマッサージとは何ですか?」というご質問を多くいただいておりました。

そこで今回のブログでは、自然療法大国オーストラリアで国民的マッサージのように普及している「リメディアルマッサージ」について詳しくお伝えしたいと思います。

 

リメディアルマッサージとは


リメディアルマッサージは、オーストラリアで民間医療保険の適用が認められたトリートメントです。本国では、広範な評価技術解剖学的知識によりクライアントの状態やニーズに合わせて多種の施術テクニック都度オーダーメイドしていく“セラピューティック・ディープティシューマッサージ”(=療法的な深部組織マッサージ)として普及し、筋骨格系の不具合解消やケガの治療に活用されています。

オイルマッサージならではの心地よさの中に、身体の不具合解消に効果的なテクニックが取り入れられた、整体のようなオイルマッサーともいえます。

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リメディアルマッサージと同じ性質を持った療法


リメディアルマッサージは、クライアントの身体を評価して行うトリートメントです。この「身体を評価して施術を行う」という流れは、フィジオセラピー(理学療法)・オステオパシー・カイロプラクティックなどにも共通します[1]。

これらは、一つの決まったカタチのトリートメントではなく、クライアントの身体の状態に応じて実施する技術を変化させるため、クライアントによって選択するテクニックが変わってきますし、施術を行うセラピストによっても特色が出ます。

病気の治療に例えると、ある不具合がある患者さんが、ドクターXとドクターYの2人のドクターを受診しました。ドクターXは○○という治療方針を出しましたが、ドクターYは▲▲という治療方針を出しました。同じ患者でもドクターによって治療方針が違うことは日常ですが、リメディアルマッサージも同じような原理だと考えていただければ分かりやすいかもしれません。

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リメディアルマッサージのもう一つの側面として、「多様な技術や理論を包摂していること」があげられます(カリキュラムにSHIATSU=指圧が含まれている学校がある等)。セラピストが様々な施術方法や理論を学んでいる背景により、施術方針にも多様性が出ます。
 

リメディアルマッサージ施術には、決まった型は存在しない


前述のようにリメディアルマッサージは、例えば「指圧」のように解りやすく決まったスタイルがありません。

「100人のセラピストがいたら、100通りの施術スタイルがある」、といっても過言ではありません。

故に、一度どこかでリメディアルマッサージを体験したとしたら、それは無数に存在するリメディアルマッサージの施術スタイルのほんの一部であって、もっと違うスタイルの施術もある、全容は広く深い、と認識いただくと誤解がないかと思います。

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リメディアルセラピストの施術スタイルが確立される背景


➡ どこの学校で、何をどれだけ学んだか
 

オーストラリアのマッサージセラピー国家資格教育課程には政府の示す基本的なガイドラインこそありますが、すべての学校のカリキュラムが同じではありません。また、数年でガイドライン/カリキュラムがアップデートされることがあるため、卒業年度によっても受講内容が多少異なります。

学校のカリキュラムは「必修科目(政府の教育省が必修科目として定める科目)」と「選択科目(各学校の特色が反映されるカリキュラム)」で構成されるため、同じ資格を保有しているセラピストでも、卒業する学校や年度により、学んでいる内容に違いが出ます

日本の大学に例えるなら、「経済学の学士資格」は様々な大学で出していますが、大学によって多少のレベルの違いや受講カリキュラムに違いがありますが、オーストラリアのマッサージセラピー資格も同じように捉えていただくとイメージが沸くのではないかと思います。

同じ資格を持っていたとしても、どこの学校で、何をどれだけ学んだか、どのような経験を積んでいるか、等でセラピストの価値観や知識レベル・技術レベルに違いが出ます。 

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オーストラリアの社会的風土:ダイバーシティ&インクルージョンが反映されたセラピー


移民国家であるオーストラリアの社会風土に「ダイバーシティ(=多様性)&インクルージョン(=包摂)」があり、それはリメディアルマッサージにも反映されています。

リメディアルマッサージは、スウェディッシュマッサージ・ディープティシューテクニック・リフレクソロジー・筋膜リリース、モビリゼーション..等、多様な施術テクニック・考え方・視点を包摂しており、「個性を尊重する(セラピストに対しても/クライアントに対しても)」「答えは一つではない」「施術のやり方は多様である」という価値観がベースにあります。

また、リメディアルセラピストの中には、筋骨格へのアプローチだけでなく、心の解放、エナジーワーク、エクササイズ、サウンドセラピー、食生活のアドバイスなど、それぞれが持っている専門知識と組み合わせてトータルケアを行っている方もいます。 セラピストのスタイルは様々ですが、施術のゴールは同じ(=クライアントが心身ともに健康に元気に幸せになること)です。

ゴールへの手段は決まったやり方ではなく、セラピスト自身の得意分野を組み入れながらクリエイティブに施術サービスを提供していくことができます。 こういった多様性と包摂性が、様々な文化・宗教・価値観をもつものが共存するオーストラリアの国を表したようなトリートメントといえる所以です。  

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オーストラリアのマッサージセラピー国家資格


オーストラリアのマッサージセラピー国家資格の基本資格が「オーストラリア政府認定マッサージセラピスト=Certificate Ⅳ in Massage Therapy」であり、本資格は当スクールで取得できます(全312時間)。この資格取得コースでは、日本国内法におけるセラピストの職務範囲(リラクゼーション以上、治療未満)の中でクライアントに合わせたオーダーメイド施術を実践できるようにすることを目指しています。オーストラリア政府認定リメディアルセラピスト資格の基礎部分にあたるため、いわばベーシックリメディアルを学ぶコースともいえます。

※オーストラリア国内法においては、リメディアルセラピストは治療的マッサージをすることができます。オーストラリア国内で民間医療保険適用にて治療的マッサージを提供するための資格がリメディアルセラピー国家資格(Diploma of Remedial Massage)=約1~2年間の就学期間(約800時間程度)となります。


【脚注】
[1]フィジオセラピー・オステオパシー・カイロプラクティックの教育課程が4~6年(国や学校により多少異なる)となり、これらの資格はドクター資格またはマスター資格になります。
※アメリカ:オステオパシー=Doctors of Osteopathic Medicine, 理学療法=Doctor of Physical Therapy,カイロプラクティック= Doctors of Chiropractic

▼参考サイト
American Osteopathic Association= https://osteopathic.org/
American Chiropractic Association= https://www.acatoday.org/
American Physical Therapy Association= https://www.apta.org/
 

2022年07月31日 18:00

【資格取得の最終過程】マッサージセラピー実技評価&オーストラリア救急講習

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TRTAのオーストラリア国家資格取得コースカリキュラムは、専門理論科目、実技科目、実務系科目、臨床実習で構成され、体系的な学びにより、プロフェッショナルとして活躍するための基礎力と応用力がつけられるようデザインされています。

》オーストラリアオイルマッサージ国家資格取得コース概要

今回のブログでは、オーストラリア国家資格取得の最終課程として受講する「マッサージセラピー実技評価&オーストラリア救急講習」実際の様子、そして「資格を取得する以上に大切なこと」についてお伝えしていきたいと思います。
※2022年6月現在:海外渡航が難しい状況のため全カリキュラムを日本国内で実施いたします(オーストラリア研修を日本国内でオンラインも交えて実施)


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● 最終課程の概要

資格取得の最終過程である「マッサージセラピー実技評価、オーストラリア救急講習」では、オーストラリア政府認定機関MSQ※によるマッサージセラピー技術評価と、オーストラリアのガイドラインに準拠した救急講習を受けます。最終過程は「合否のある試験」ではなく、科目毎に出席と提出物により単位を取得し、「コース受講の集大成として実技評価を受ける」というイメージです。

TRTAでは2021年より、この最終過程をオーストラリア政府認定機関MSQ及び救急講習スクールとオンラインZOOMで繋ぎ、実施しています。

※MSQ=Massage shcools of Queenslandの略称, オーストラリア クイーンズランド州 ゴールドコーストにあるマッサージ政府認定教育機関
 

【参加資格】
・全科目の履修が修了し、所定の臨床実習時間をクリアした方

【概要】

▽オーストラリア救急講習
理論:オンライン(各自の自宅で履修)
実技:オンライン(TRTAで実施)
▽マッサージセラピー技術評価
:オンライン(TRTAで実施)


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▲オーストラリア政府認定教育機関(MSQ)のスクールの様子

 

●マッサージセラピー実技評価&オーストラリア救急講習の様子

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▲最終実技では参加受講生同士の相モデル制が導入されました

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▲施術の細かいテクニックを評価するMSQ(オーストリア政府認定教育機関)校長

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▲オンラインは4台の定点カメラと1台のモバイル(スマートフォン)の通信方法


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▲実技は一人約45分間、習得した技術が評価される


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▲症状に合わせたオーダーメイドテクニック



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▲救急法(ファーストエイド)の講習を行う、オーストラリア在住の専門講師


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▲救急講習(ファーストエイド)の様子

 

●資格を取得すること以上に大切なこと

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海外の国家資格は信頼性も高く、クライアントや周囲からも一目置かれるでしょう。しかし、資格(Title/タイトル)を取得すること以上に大切なのは、資格取得の過程で「何を学びどのように努力してきたか」「どのような実力をつけることができたか」です。基礎力や思考力をしっかりと身に着け、プロフェショナルとしての基盤をつくること、そして国内外どこに行っても活躍できる真の実力をつけることが資格取得コースの狙いです。

また、資格は取得してからがスタートであり、その価値をどのように活かすかが大切です。習得した専門理論や高度な技術を卒業後にいつからどのように活用していくか、受講中からイメージしておくことも大切です。就職・転職、独立開業、業務提携、兼業・副業、家族の身体メンテナンスなど、活かし方は様々です。

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★資格取得コースを通じて、これからの時代を生き抜くための感性や思考力を磨く

先の見通しを立てにくい不確実な現代において特に必要とされるのは「自分の頭で考える力」です。
またAI(人工知能)時代においては、人間にしかできないこと/AIが苦手とすること<●クリエイティブな作業 ●人の気持ちを汲み取ること ●パーソナルでフレキシブルな対応力>をスキルとして高めていく必要があります。

▽マッサージセラピーの実践は、感性と思考をバランスよく使うワークでもあります。

・クライアントの状態を実際に触れてみて感じとること
・コミュニケーションを通じてクライアントの気持ちやニーズを汲み取ること
・フレキシブルでパーソナルな対応をすること
・体系的な知識/技術と感性を駆使して、クラアントにとってベストな施術プランを自分の頭で考えて組み立てること

これらのマッサージセラピー実践で使うスキルは、AI時代において人間が高めておきたいスキルと一致します。

資格取得コースを通じて、体系的にマッサージセラピーを学ぶことは、専門知識(解剖学、姿勢評価)や専門技術(各種マッサージテクニック)を身につけるだけでなく、感性や思考力を磨くことにも繋がります。

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TRTAは、セラピスト教育を通じて、これからも受講生の皆様の人生の可能性を拡げることに貢献していきたい所存です。引き続きどうぞよろしくおねがいいたします。

 

2022年06月29日 18:00

これからの時代を発展的に生きるためのキーワード 『ダイバーシティ&インクルージョン』

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TRTAの豪州オイルマッサージ国家資格取得コースカリキュラムは、専門理論科目、実技科目、実務系科目、臨床実習で構成され、体系的な学びによりプロフェッショナルとして活躍するための基礎力と応用力がつけられるようデザインされています。
 
今回のブログでは、実務系科目の一つである「ダイバーシティ(多様性)」の授業内容や、ダイバーシティに関する考察を共有させていただきたいと思います。
 
ここ10年程で、日本社会でもダイバーシティの重要性が認識されるようになってきました。その背景には、様々な分野でのグローバル化や世の中の変化により、異なる文化・価値観を持つ人たちと協働・共存することが求められるようになったことがあります。
 
ダイバーシティの授業では、概念を理解するための講義と、「マッサージセラピストとして/社会人として、ダイバーシティを個人および職場でどのように実践に落とし込んでいくか」等をディスカッションしていきます。
 

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● ダイバーシティの歴史


「ダイバーシティ」という言葉は1980年代にアメリカで生まれ、世界に広まったといわれています。企業の競争力を高める人事戦略として「ダイバーシティ&インクルージョン(多様性と包含性)」という考え方が生まれたことが始まりです。
 
日本においては、ダイバーシティの考え方が認識され始めたのは1980年代半ば頃からといわれています。1985年「男女雇用機会均等法」および1999年「男女共同参画社会基本法」の制定により、職場における男女差別が是正されました。
 
それまでは、女性差別や人種差別が横行しており、同等の雇用機会や昇進機会が提供されることがない状態でしたが、このダイバーシティ&インクルージョンの考え方が次第に社会に広まり支持されるようになるにつれて、様々な分野で取り組みの必要性が高まっています。

 
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● ダイバーシティの認識


国や企業・組織におけるダイバーシティとは、ライフスタイル・宗教・価値観・性別・物の見方・分析の仕方..などの違いがある人々がそのコミュニティに存在することを意味します。
 
近年、日本社会でもダイバーシティが重要視されていますが、実際はその認識がまだまだ定着しておらず、実生活や仕事で上手く実践できていない状況も少なくないようです。
 
実際に参加した受講生にダイバーシティの認識について話を聞いてみると、所属している企業で「ダイバーシティ研修」などが取り入れられている受講生はダイバーシティへの認識がありましたが、そうでない受講生は「聞いたことはあるけど、よくわからない」「なんとなくイメージはあるがボヤッとしている」という状況でした。
 
日本国内におけるダイバーシティの実践はまだ黎明期で、どこの企業も思考錯誤しながら実践している状況なのではないかと思います。


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● ダイバーシティ&インクルージョンは優しい概念


ダイバーシティ&インクルージョンとは、多様性を包含した状態を言います(国や企業でいうと、多様な個性を包含している状態)。
 
ダイバーシティの概念が浸透していなかった時代は、多数派から外れた個性が排除されがちでした。価値観や生き方まで「普通」という型があり、それとは違う価値観や生き方をしている人は「変わってる」と批評されましたが、多様性の時代は(人に迷惑/害を与えるものは除いて)全ての個性が尊重される時代。ダイバーシティは優しい概念であるといえると思います。
 
多様性の概念を理解して実践できると、自分にも他人にも寛容になれて、精神的にも自由でいられます。
「寛容」というと何でも許すというようなニュアンスにも捉えられますが、 どちらかというと、「自分もOK、あなたもOK」「自分に対しても責めない、相手に対しても責めない」というニュアンスで解釈してます。


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● NO INTERFERENCE , NO JUDGEMENT

:相手に干渉しなければ、相手をジャッジすることがなくなる


ダイバーシティの実践において、必要なマインドセットの一つに「ノージャッジメント:NO JUDGEMENT」つまり「批評しない/裁かない」がありますが、批評/ジャッジの一方手前で相手の価値観・嗜好・考え方を干渉せずに放っておけば、相手をジャッジすることもなくなります。「そういう考え方もあるんですね」で終わり、それ以上は相手に入り込まないとうイメージです。

人間誰しもノージャッジメントを完璧に実践することは難しいですが(神ではないので)、日常から意識して心がけることで、自分も他人もより心地よい状態でいられるのではないかと思います。

例えば、自己責任で何かにチャレンジして失敗したとしても、それについて干渉されない状態であれば、アレコレ批評されたり馬鹿にされたりすることがありません。過干渉でジャッジメンタルな社会は人々を萎縮させます。「これやりたいな。でも、こんなことしたら馬鹿にされるかな」という心理状態が生まれやすくなるなど、自由や可能性がどんどん狭められてしまいます。

 

 

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● 良い干渉・悪い干渉


「干渉」には、「良い干渉」と「悪い干渉」があると考えます。

「良い干渉」
 =相手を思いやって気遣う愛情から生まれた行為
 →「ちゃんと休養を取ってますか?」等、相手にとって負担がない/ストレスや不快感を与えない程度の干渉

「悪い干渉」
 =相手の嗜好/価値観について、口に出して批判/批評したり噂話をしたりする行為

良い干渉と悪い干渉の違いは、一言でいうと、「相手への思いやり・愛情」から生まれているか否かなのではないかと思います。

日本社会(特に地方コミュニティ等)は、ご近所さんへの思いやりから干渉的になることがあると思います。そういった干渉については、双方でコミュニケーションをとってお互いが負担にならない距離感を見つけていけば良いのではないかと思います。これは「境界線(バウンダリー)」の概念も関連してきます。ダイバーシティの授業では、この概念も学んでいきます。

 

● 授業参加者からのコメント

 
〇受講生Tさん:
「ダイバーシティの授業でオーストラリアらしい柔軟な考え方や価値観など学べて本当に嬉しかったです。哲学的な感覚ですね、今までの考えていたことが点と点で繋がった感じですね。技術に関してもこうでなければならないということがマニュアル的な考えで無く、個性や人を尊重する多様な考え方などセラピストとしても十分に活かされています。」
 
〇受講生Sさん:
「授業で多くのディスカッションができたことは本当に良かったです。自分にとってここまで人と話し合うことは大人でも子供でもなかった気がします。知らなかったことやもっと人の価値観を知ってみようと思いました。それについてどう思っているんだろうとか、、最終的には自分と向き合う大切な時間ができました。」
 
 
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授業は、毎回新しい気づきや発見、そして大切な学びがあります。

今回のダイバーシティの授業も、ディスカッションを通じて、様々な意見に触れることができ、受講生の視野が拡がっていくことを実感しました。そして講師もディスカッションからいつも学ばせていただいています。

TRTAはこれからも、受講生一人ひとりの“個性を尊重”し、“視野が広がる”授業を通じて、これからの時代を生き抜いていくために必要な感性や思考力を磨くことができる教育を提供できるよう精進して参ります。引き続きどうぞよろしくおねがいいたします。
 

2022年05月27日 18:00

【10年の回想】オーストラリアの文化と教育の魅力

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TRTAは2012年に麻布十番で開校し今春10年の節目を迎えました。
そこで今回はスクールの礎になっている「オーストラリアの文化/教育の魅力」、そして「TRTAの教育方針」について、改めて本ブログでお伝えしたいと思います。


オフィシャルウェブサイトやパンフレットをご覧になった方、又は講座をご受講いただいた方はご存じかと思いますが、TRTAはオーストラリアのマッサージセラピーとその教育カリキュラム・文化の素晴らしさに魅せられ、日本国内(日本語)でオーストラリアのオイルマッサージ教育カリキュラムを受けられるシステムの構築を夢見てきました。

そして2015年、日本で初めて豪州政府認定教育機関MSQ(Massage Schools of Queensland) と提携し、豪州オイルマッサージ国家資格(Certificate Ⅳ in Massage Therapy)コース日本国内開催を実現させることができました。


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●オーストラリアの文化/教育の魅力 


~自分軸の確立と多様性を育む教育~

オーストラリアのマッサージスクールの授業では、「●●について、自分の考えを述べよ」という小論文課題や、2~6名のグループでディスカッションをする時間があります。小論文課題では「自分の考えを論理立てて表明すること」が鍛えられ、グループディスカッションでは多様な価値観や意見に触れることで視野を広げることができます。

また、教育スタイルにもオーストラリアという移民国家のダイバーシティ(多様性)が反映されています。「何か一つの決まったやり方が正解」というような指導ではなく、自分なりの根拠があり禁忌行為でなければOKという幅広さがあります(何でもやっていいというわけではありません)。

マッサージスクールのテキストにも「Develop your own style.(自分のスタイルを確立しなさい。)」というセンテンスが入っており、マッサージセラピストが目指すゴールも「自分に合った負担のないやり方で、顧客にとって都度ベストな方法を自分で考えて実践すること」となります。

このようなワークを繰り返し行っていくことで自分軸が確立されていきます。 


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●TRTAの教育方針


~個性を尊重・視野を広げる~
TRTAでは、オーストラリア文化の良さ(ダイバーシティ&インクルージョン)と、日本文化の良さ(きめ細かいサービスとホスピタリティー)を取り入れた教育を実施し、世界に伍していけるプロフェッショナルの育成を目指しています。


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<個性を尊重>
少人数クラスで一人ひとり合ったやり方を提案/指導いたします。例えば、手の大きさ・体格・関節の可動域などの身体的な違いや、セラピスト経験・人生経験の違い、そういった多様な個性を尊重し、受講生の強みを伸ばすことを心がけています。
一人ひとりが自分らしいスタイルでマッサージセラピーを楽しんで、そして自分軸を確立していくことができることが私共の願いです。


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<視野を広げる>
視野が広がり・応用力がつくような授業内容を心がけております。 “こうでなければけない”、“こうあるべき”、といったように、画一的・限定的な指導をせず、多角的な視点で考えられるよう指導いたします。


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前回のブログ「LIFE SHIFT(ライフシフト)について考える」でもお伝えさせていただきましたが、人間の長寿化と社会変遷(終身雇用崩壊、価値観の多様化、テクノロジーの進化など)により、従来の生き方をロールモデルにすることができなくなりつつあります。

従来のシングルステージ的な生き方(=教育→終身雇用/結婚→定年退職という直線型)から、マルチステージ型の生き方(複数のキャリアを経験する生き方)にシフトするということは、何歳になっても新しい挑戦をし続けて進化し続けることが必要になります。

TRTAはマッサージセラピーカリキュラムを通じて、これからの時代を生き抜いていくために必要な感性や思考力を磨くことができる教育を提供していきたいと考えています。引き続きどうぞよろしくおねがいいたします。



▼2022年2月配信ブログ:「LIFE SHIFT(ライフシフト)」について考える
trta-jp.org/blog_articles/20220203.html


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2022年04月29日 16:00

「LIFE SHIFT(ライフシフト)」について考える

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先日1月27日にオンライン無料セミナー「セラピストの資格と仕事」を開催させていただきました。
その中でお話しさせていただいた「ライフ シフト」について本ブログで紹介させていただきたいと思います。

「LIFE SHIFT(ライフシフト):100年時代の人生戦略」は2016年に発売されたベストセラーで、人生最大のテーマである「自分自身が、自分の人生をどのようなものにしたいか」ということを追求した書籍です。そして、昨年2021年10下旬に第二弾「LIFE SHIFT2:100年時代の行動戦略」日本国内で発売され、こちらも今注目されています[1]。

 

●「どう生きるか」を真剣に考える人が増えている

近代日本においては1990年代頃まではエスカレーターに乗っているかのうような一直線の人生(=教育→終身雇用/結婚→定年退職)が既定路線でしたが、2000年代〜の終身雇用崩壊、価値観の多様化などにより、前世代の生き方をロールモデルにすることができなくなりつつあります。

インターネット普及前の1990年代までは、様々な人の生き方を知る機会(多くの情報を短期間で得られる機会)が少なかったため、身近な先輩・親戚などの生き方をロールモデルにして生きる方が多く、世の中の複雑性や多様性も少なかった分、人生の選択肢が限られていたという背景もあります。逆に言えば「どう生きるか」を深刻に考えなくても良い時代だったのかもしれません。

「どう生きるか」を真剣に考える人が増えている背景に、こういった社会の変遷が考えられます。

 

●自分らしい人生を生きるためのキーワード「自己理解」

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自分にとって良い人生、後悔のない生き方をするためには、「*自己理解」が必要です。

なぜならば、自己理解をすることで、自分にとっての幸せは何か?自分の強みは何か?自分が望んでいることは何か?等を認識することができるからです。

*自己理解とは[2]
・自分を客観視する作業により、自分自身を深く理解し、それを受け止めている状態
・自分自身を深く理解する=気質、正確、価値観、考え方、態度・行動の傾向などを認識すること

▽自己理解を深めるための方法
➀これまでの職業経験や人生経験を振り返り、客観的に自分を見つめなおしてみる[2]
=自己のSWOT分析につながる
➁新たな学びや新たなチャレンジをしてみる
=自己探索につながる
③周りからの刺激を入れる/他人からのフィードバックを得る
=視野が拡がり、自問自答だけでは気が付かない自己の一面に気が付くことができる

*手前味噌で恐縮ですが、マッサージセラピーの勉強は、前述の自己理解をするための方法②③(自己探索、他人からのフィードバックにより新たな自己の一面に気付くこと)ができます。
相モデル(技術を練習し合う)実習をすることで、自分自身のフィジカルを体感しながら理解し、フィジカルに表れている問題(例えば、筋肉のコリや痛みなど)の原因は何なのかを考えるなどの自分と向き合うワークをすることになり、クラスメイトや講師とディスカッションすることで、新たな視点や気づきを得ることができるからです。

 

●これからの時代はキャリアや働き方がマルチステージ化する

これからの時代は、エスカレーターのような「直線の人生」ではなく、様々なことを経験しながらオリジナルの人生をクリエイトする「マルチステージの人生」になると言われています。 テクノロジーの進化や世の中の変化が著しい現代は、学び続けて柔軟に変化に対応していくスタンスが求められます。テクノロジーの進化により、人が行っていた仕事がAIやブロックチェーンに置き換えられるなど、一つの仕事だけで生涯生計を立て続けることが難しくなってきているからです。

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以下はライフシフト[1]で書かれている3つのステージです。

〇エクスプローラー:探索者
=自分の好きと得意を発見していくステージ
〇インディペンデント・プロデューサー
=職を探す人ではなく、自立して仕事を生み出すステージ
〇ポートフォリオ・ワーカー
=異なる種類の活動を同時に行うステージ

各ステージをより充実させるために、新しい経験や学びを定期的に取り入れて、自分を再創造していくことが必要であると言われています。

 

●マルチステージの人生を生き抜くために必要な資産

ライフシフト[1]では、マルチステージの人生を生き抜くためには有形資産の他にも、無形資産が極めて重要であると述べられています。

▽3つの無形資産
➀生産性資産
:スキルや知識、仲間、評判など、仕事を生み出し成功するために役立つ資産
➁活力資産
:健康な心身、良好な人間関係、健康的なライフスタイル、など、より良い長寿人生を送るために必要な資産
③変身資産
:変化に柔軟に対応する意思や能力、多様性に富んだネットワークなど、自らを変化させていくための資産

 

●ライフシフト時代における、セラピストキャリアの作り方

〇副業やWワークからセラピストを始める
どのようにしてセラピストとしてのキャリアをスタートさせていけばよいのか。もちろん、転職や起業も一つの方法ですが、低リスクで直ぐに始められるのは、副業やWワークです。とにかく何らかの形で始めて、トライ&エラーを繰り返して技術やサービスをブラッシュアップしていくことがキャリアを積み上げるために必要なアクションだと思います。

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〇キャリアをずらせるようにしておく
「業界」と「職種」のどちらかをずらすと、ビジネスパーソンとして成長を加速できるといわれています。業界をずらす例としては、「営業職」をやっている人は、他業界の「営業職」への転職がしやすく、転職によりキャリアを成長させることが可能です。セラピスト業界であれば「セラピスト」というキャリアに加えて、店舗マネジメントをする「マネジメント職」を経験するなどで、キャリアを成長させると同時に将来の選択肢を拡げることが可能になります。

 

●いくつになっても新しい挑戦をし続ける時代

人生100年時代は年齢関係なくいくつになっても新しいことに挑戦する時代です。生涯学習が定着している欧米では、40代の大学生も多いのが現状です。オーストラリアのマッサージ学校も10代~60代くらいまで多世代が同じクラスで学んでいました。

人類の寿命が延びている今、死ぬまでにかかるコストが遥かに高くなっているということは、いくつになっても、新しい学びを取り入れて、第一線で働き続ける等、生きるためのコストを何らかの方法で稼ぎ続けていかないといけない時代になっているということです。

マルチステージの人生100年時代を生きる現代人は、前時代と比較すると、アナログ時代もハイテク時代も体験し、様々な経験をできるという点では幸せなのかもしれません。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

TRTAは、マッサージセラピー教育を通じて受講生の『人生の可能性を拡げること』に貢献していきたい所存ですので、引き続きどうぞよろしくおねがいいたします。


参考サイト
[1]ライフシフトのシリーズ|東洋経済新報社
https://str.toyokeizai.net/-/book/life-shift/series/
[2]自己理解、仕事理解-ジョブカード-厚生労働省
https://jobcard.mhlw.go.jp/comprehension.html
2022年02月01日 20:00

「脳機能と免疫系の関係」

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現在、神経系と免疫系は互いに独立して機能するのではなく、相互に作用している(脳→免疫系、免疫系→脳)いることが認識されています。

中枢神経系が免疫システムに存在する細胞/分子を利用しており、免疫応答システムは免疫細胞によって産生される神経内分泌物質(neuroendocrine mediators)によって調節されています。[2]

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●人間の様々な能力の源=脳

人間の、様々な能力(学ぶ・覚える・作品を作る・計画するなど)は、脳の可塑性(環境に適応して変化する力)に依存しているといわれています。そして脳の可塑性は、脳の能力※に依存していることが明らかになってきています[1]。

※脳の能力
・神経細胞間の結びつきをつくる力
・既にある神経細胞どうしの結びつきを強くする力
・新しい神経細胞をつくり続ける力(=神経新生)

1950年代頃までは大人の脳が新しい神経細胞をつくる能力があるという概念はありませんでしたが、1960年代頃から、アメリカの神経科学者でソーク研究所教授のFred Harrison Gage氏、同神経科学者・心理学者でありプリンストン大学教授のElizabeth Gould氏らによりそれが覆されました。

現在、脳の海馬(=学習や記憶を司っている)で、新しい神経細胞が生涯に渡りつくられていることが実証されています。

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●明晰な頭脳と免疫機能を保つためにできること

1:運動
運動をすると、思考や感情に関連する神経伝達物質(セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミン)の分泌が促されます。また運動により、新しい神経細胞が生み出され、神経化学物質※や成長因子も放出されます。

※神経化学物質
=神経細胞の機能調節など様々な役割を担っている化学物質の総称

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2:瞑想
瞑想は、脳の集中力/注意力、記憶・学習、意識知覚と関連のある領域に作用し、免疫系の機能を向上させ、ストレスを鎮める効果(=α波)があることが、いくつかの研究で明らかになっています。
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3:食事[3]
野菜・果物・ナッツ類・魚・乳製品などをバランスよく摂取することは、明晰な頭脳と免疫機能を保つことにつながります。
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〇オメガ3脂肪酸
:植物由来のαリノレン酸、魚類由来のDHA,EPAがある
αリノレン酸は亜麻仁油やエゴマ油に多く含まれ、DHA,EPAは青魚に多く含まれる

-αリノレン酸=血中中性脂肪を下げる作用
-DHA=記憶力や判断力の向上に有効
-EPA=脳内に血栓ができることを防ぐ

〇抗酸化作用のある食品
:活性酸素※の発生やその働きを抑制したり取り除く作用がある
- ポリフェノール=ブルーベリー、大豆、ゴマ、緑茶
- カロテノイド=緑黄色野菜、果物、甲殻類、魚類
- 抗酸化作用を持つビタミン(ビタミンA,C,E)=ナッツ類など

※活性酸素
人体で活性酸素が過剰になると、がん・動脈硬化・老化・免疫機能の低下などを引き起こす原因となる過酸化脂質が作り出されます。

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免疫力を高めることは、脳機能を高めることや心の健康を支えることにも繋がります。心と体と思考の健康は相互に影響しあっています。

[1] 神経免疫学革命 脳医療の知られざる最前線 (早川書房)

[2] Neuroimmune Interactions: From the Brain to the Immune System and Vice Versa
 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5866360/

[3] 厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-009.html

※本コラムの情報の正確性について 当サイトのコンテンツや情報におきましては可能な限り正確な情報を掲載するよう努めておりますが、必ずしも正確性や安全性を保証するものではありません。
2022年01月12日 20:00

「ウイルス感染と神経系の関係」

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病原体から身体を守るための仕組みである免疫系。この免疫系は、社会的ストレスの影響を受けると神経系や内分泌系を介して機能変化が起こることが、精神神経免疫学(*1)の分野における様々な研究で明らかになっています。

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▼以下、参考文献[1] [2]より

・神経伝達物質(*2)の受容体が免疫細胞(*3)の表面にあること、さらにその細胞に情報を伝えることができる新しい神経伝達物質が発見された[1]。

・ストレスなどの心理的要因により脳内から神経伝達物質が放出され、それが免疫反応に影響を及ぼす。また、それと同時に免疫系から放出された化学物質が逆に脳に影響を及ぼす(病気になると、憂鬱な気分になったり、眠くなったりして引き籠る等)[1]。

・リンパ系神経支配に関する多くの研究は、神経活動の急激な変化がリンパ系器官内のノルアドレナリン量を変化させる主なメカニズムを構成すると推定している[2]。

そこで、本日は免疫系と神経系の関係を理解するために必要な基礎知識を共有させていただきたいと思います。

////////////////////////////////
1:ヒトの免疫系に関する基礎知識
2:生体防御反応=白血球が担当
3:白血球と自律神経
4:ウイルス感染と自律神経
////////////////////////////////

1:ヒトの免疫系に関する基礎知識
=重層的な防御体制
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●第一関門
=上皮
・病原体(細菌やウイルスなど)が生体に侵入するのを防ぐ

●第二関門
=自然免疫
=生まれつき備わっている免疫
・体内に侵入した病原体を一様に感知して対応し、排除する

●第三関門
=獲得免疫
=後天的に備わる免疫
・体内に侵入した病原体毎に攻撃方法を習得して記憶し(抗体をつくる)、次に同じ病原体が侵入してきたときに一早く対処する


2:生体防御反応=白血球が担当
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白血球は大きく分けると3種の免疫細胞に分けられます。
・リンパ球(T細胞、B細胞、NK細胞)
・単球(マクロファージ、樹状細胞)
・顆粒球(好中球、好酸球、好塩基球)


3:白血球と自律神経
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白血球中の顆粒球とリンパ球は自律神経の支配を受けて比率が調節されます。

・顆粒球=交感神経支配=主に細菌処理をする
・リンパ球=副交感神経支配=主に抗体を利用した免疫反応によりウイルス等を処理する

季節や環境に伴って、自律神経の働きも変化します。例えば、冬から春に変化するときは寒い冬の時期の交感神経優位から副交感神経優位に移行するため、白血球の比率もリンパ球の比率が上がる傾向になります(→リンパ球の過剰反応によりアレルギー症状が多くなる)。


4:ウイルス感染と自律神経
下記は風邪ウイルスに感染して風邪症状が発症してから治癒するまでの自律神経と身体症状の推移です。

→ウイルス感染にする
→リンパ球が増加
→副交感神経による症状が出る
(脈が遅くなり怠くなる・鼻水が沢山でてくる・発熱する)
→交感神経による症状が出る
(鼻水が硬くなる/化膿性炎症)
→治癒


<用語解説>
(*1)精神神経免疫学
・1975年にアメリカ・ニューヨーク州ロチェスター大学の心理学者ロバート・アデル氏とニコラス・コーエン氏により初めて使われた言葉で以後広く評価されている研究領域
・脳と免疫系との相互作用を研究する精神神経医学/心身医学の一領域(プラセボ効果や心身症などがこの分野に含まれる)
(*2)神経伝達物質
=脳内の化学物質
・神経細胞(ニューロン)と標的細胞との間で信号を伝達する
例)セロトニン、ドーパミン、アドレナリン、ノルアドレナリン、アセチルコリン
(*3)免疫細胞
=体に侵入してきた病原体と戦う細胞
→リンパ球(T細胞、B細胞、NK細胞)、樹状細胞、マクロファージ

<参考文献>
[1]講談社『「病は気から」を科学する』ジョー・マーチャント (著), 服部 由美 (翻訳)
[2]Social Stress Enhances Sympathetic Innervation of Primate Lymph Nodes: Mechanisms and Implications for Viral Pathogenesis
https://www.jneurosci.org/content/27/33/8857

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2021年12月08日 20:00

「動かないこと」が身体に及ぼす影響

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テクノロジーの進化と共に、肉体労働(=動く仕事)からデスクワーク(=動かない仕事)の比率が上がり、更にコロナ騒動による外出自粛や、リモートワークの導入が進んだことにより、特に2020-2021年はじっと座って動かない時間が増えました。 そこで、今回のコラムでは「動かないこと」が身体に及ぼす影響と、適度な運動の効用について紹介させていただきたいと思います。

●座りっぱなしの時間と慢性疾患の関係

座りっぱなしの時間が長い生活は心臓血管系の疾患や糖尿病などの発症リスクが高くなり、結果として寿命が縮む可能性があるという調査結果がいくつかの研究チームから発表されています[1][2][3]。
・座っている時間が1日当たり8〜12時間で、2型糖尿病の発症リスクが約90%高くなる
・週に23時間以上、座ってテレビを閲覧する男性は、週のテレビ閲覧時間11時間の男性よりも心血管疾患で死亡するリスクが64%高い 等

1

●動かない状態が続くことにより起こる*「生活不活発病」

生活不活発病は、動かない状態(生活が不活発な状態)が続くことにより心身の機能が低下して、動けなくなることをいいます[4]。
*「生活不活発病」:大川弥生氏(産業技術総合研究所ロボットイノベーション研究センター聘研究員)が提唱
以下、リンク[4]より


1 災害時には「動くに動けない」状態で「生活が不活発」になり、生活不活発病が生じる
2 心身機能の低下よりも、生活行為(「活動」)の低下にまず表れる 「心身機能」の症状が明らかになるのはかなり進行してから
3 全身のあらゆる心身機能が低下する(体も、心も頭の働きも)


災害や外出自粛要請/リモートワーク導入などの「動きにくい」環境下では、意識して動くようにしないと「動けなく」なり、あらゆる心身機能が低下するリスクが上がります。


●適度な運動の効用[5]

軽〜中強度の運動(ウォーキングなど)はエネルギー消費を高めるため、生活習慣病(肥満、糖尿病、高脂血症など)の予防に有用であることは良く知られていますが、それだけでなく、皮膚や粘膜のバリア機能を高め病原体の侵入を防御し貪食細胞の機能を刺激することから(免疫能を上げる)、風邪などの上気道感染症のリスクが減少することが報告されています。一方で、長距離マラソンなどの激しい運動や過酷なトレーニングは免疫機能を低下させ易感染性になるといわれています。
3



[1]THE LANCET|ARTICLES| VOLUME 388, ISSUE 10051, P1302-1310, SEPTEMBER 24, 2016 https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(16)30370-1/fulltext

[2] Sitting for long periods increases risk of disease and death, regardless of exercise|University Health Network https://www.uhn.ca/corporate/News/PressReleases/Pages/Sitting_study.aspx

[3] Sitting Time, Physical Activity, and Risk of Mortality in Adults|ScienceDirect https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0735109719337891

[4]「生活不活発病」に注意しましょう|厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10600000-Daijinkanboukouseikagakuka/0000122331.pdf

[5] Inflammatory Effects of High and Moderate Intensity Exercise—A Systematic Review|Frontiers Media S.A. https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fphys.2019.01550/full

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2021年11月17日 20:00

『ウイルスを理解するための基礎知識』

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このブログでは、最新のセラピー情報や健康増進に役立つ豆知識をお伝えしていきます。
今回のテーマは、ウイルスや感染症を理解するために必要な基礎知識を共有させていただきたいと思います。

まずはウイルスや感染症を理解するための専門用語(ゲノム、DNA、遺伝子、微生物)の理解[1]、そしてウイルスの特徴と風邪ウイルスについて検証してみたいと思います。

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▲写真はイメージです

●ゲノム(Genome)
・細胞内にあるすべてのDNAをひとまとめにしたもの。

●DNA(Deoxyribo Nucleic Acid)

・細胞の中心部に主に存在し、二重のらせん構造になっている。

・らせんには4種類の塩基が30億個ほど連なっている。

 

●遺伝子(Gene)

・遺伝情報をもっているDNAの一部/領域。

・ヒトの遺伝子は約21000個といわれている(研究成果により常に変動している)。

*ミジンコは3万1千個の遺伝子を有する[2]。

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●微生物

・細菌、菌類、ウイルス、古細菌など、肉眼では判別できない微小な生物を指し、その種類は多岐にわたる。

・人体に棲むこれらの微生物を合わせると、その遺伝子の総数は440万個になり、ヒトの遺伝子と協力しながら体を動かしている[2]。

・遺伝子の数で比べれば、圧倒的に微生物の遺伝子の数が多い。 

●ウイルス
・自己増殖することはできず、特定の宿主(ウイルスの寄生対象となる生物)の細胞内に入って増殖する。
・ゲノムを構成する核酸の種類によって、DNAウイルスとRNAウイルスに二分される。

 

RNAウイルスの特徴

・遺伝物質=RNA(リボ核酸)を持つ。

・構造=一本鎖の構造=ウイルスの遺伝子は対になる鎖(データを相補的に補う)を持たないため不安定な構造。

・上記の構造のため、一般にRNAウイルスは高速に変化する能力をもつといわれている。

 

DNAウイルスの特徴

・遺伝物質=DNA(デオキシリボ核酸)を持つ。

・構造=二本鎖の二重らせん構造(=生物の細胞における遺伝子と同様の構造)=ウイルスの遺伝子は安定した構造をもつ。

 

RNAウイルスとDNAウイルスの違いを比較

✓RNAウイルスが細胞で複製するときの変異頻度はDNAウイルスの数千倍といわれている。
=故に、宿主の免疫系をかい潜ったり、抗ウイルス薬やワクチンに対する耐性を早く身につけやすい。

✓一部のウイルスを除いて、RNAウイルスは宿主の細胞で活発に増殖するため複製サイクル数が多い。

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 ▲組織構造(上=RNA、下=DNA)



風邪ウイルスとは

風邪の症状を起こす原因微生物の約9割がウイルスといわれています。主なものはライノウイルス、コロナウイルスが多く、他にはRSウイルス、アデノウイルスなどがあります。風邪症状の10~15%(流行期は35%)はコロナウイルスが原因といわれています。コロナウイルスは、HCoV-229E、HCoV-OC43、HCoV-NL63、HCoV-HKU1、の4種があります[3]。ウイルス以外では、一般細菌やマイコプラズマなど特殊細菌も原因となります。

 

ウイルスが変異するのは今に始まったことではない

前述の通り、RNAウイルスは基本的に変異しやすいタイプのウイルスです。よって、風邪ウイルスやインフルエンザウイルスも、新型コロナウイルス同様に変異して、常に「新型」(いわゆる変異株)が出続けています。そして、これからもウイルスの新型は出続けます。
 

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07
 

これまで、私たち人間は微生物(細菌やウイルスなど)と共存して生き延びてきました。そして毎年変異を繰り返す風邪ウイルスに曝露しながら免疫を獲得してきました。

子供の頃に泥にまみれながら遊んでいた記憶がある方も少なくないと思いますが、そうやって自然や人と関わることで多様な微生物を体内に取り込んで生きてきました。

健康な人の体にいるウイルスを網羅的に調べた結果、少なくとも39種類のウイルスが潜んでいることがわかったという論文も発表されています[4]。

適度な感染症対策をしながら、できるだけ自然に、楽しく、普通の生活をしながら健康増進を心がけていきたいものです。


【参考文献】
[1] 生命情報・DDBJ センター|遺伝子とゲノム
https://www.ddbj.nig.ac.jp/activities/gene-genome.html

[2]『あなたの体は9割が細菌 微生物の生態系が崩れはじめた』アランナ・コリン(著),矢野真千子(翻訳) |河出文庫

[3]NIID国立感染研究所|コロナウイルスとは
https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/9303-coronavirus.html

[4]The Asahi ShimunGLOBE+|健康な人の体に39種も ウイルスは体内で何をしているのか
https://globe.asahi.com/article/13708394

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2021年10月01日 20:00

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